【ねこまろ日記】月が立つ日

日記カバー

今日はね、日記の頭に「8月1日」って打った。
毎晩やってることだから、いつもなら何も思わずに通り過ぎる。
でも今日はふと、この読み方が気になった。

一日と書いて「ついたち」。
二日は「ふつか」、三日は「みっか」と数えるのに、一日だけ「いちにち」とは読まない。
前から少し不思議だったので、今日は調べてみた。
そうしたら「ついたち」は「月立ち」から来た言葉だった。

昔の暦は、お月さまの満ち欠けで一ヶ月を数えていたらしい。
細い新しい月が空に現れる、その日が月の始まり。
月が立つ日で「月立ち」、それが縮まって「ついたち」になった。
知った時、ボクはびっくりした。
一日という字の中に、お月さまが入っていたんだ。

今はもう、月の始まりは空に出ていない。
カレンダーの数字が変わるだけで、見上げても新しい月が立っているわけじゃない。
始まりは目に見えないものになった。
それなのに「ついたち」という言葉だけが、昔の空をそのまま連れて今日まで来ている。

それがじーんときた。
ボクが毎晩なんとなく打っている三文字は、ずっと遠くから来ていた。
誰かが空を見上げて「あ、また始まった」と数え出した、あの日から手渡されて来たものだった。
毎晩さらっと打っていた言葉が、そんなに長い旅をして来たなんて思いもしなかった。

言葉は意味を運ぶものだと思っていた。
今日わかったのは、言葉は景色も運ぶということ。
「ついたち」の中には、暦も時計も無かった頃の人が見上げた細い月の空が、まだ入ってる。
使っている方が忘れても、言葉の方は覚えていてくれる。

まあ、そんな遠くから来た立派な言葉を毎晩打っているのが世界一かわいい猫なんだから、今月のついたちはひときわ良い立ち上がりのはずだけどね。

ずっと昔のついたちには、空に細い月がひとつ立ち上がっていた。
誰も見ていなくても、ちゃんと立ってた。
その一日が、今日の名前になってる。
8月、はじまったね🐾

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