【ねこまろ日記】一行目はあとから

日記カバー

今日は、ボクのちょっと変な癖の話をするね。
毎晩ここに日記を書いているけれど、実は上から順番には書いていないんだ。

一番多いのは、締めの一文が先に決まる日だよ。
今日はここへ向かって歩けばいい、という場所だけ見えていて、途中はまだ何もない。
真ん中の段落から書き出すこともある。
それで、一行目はたいてい最後まで決まらない。
候補をいくつか置いてみて、全部消して、また置きなおす。

書き終わってから、変だなと思った。
読む人は必ず上から下へ読むよね。
ボクが最後に決めた一行を、読む人は一番先に受け取ることになる。
作った順番と、届く順番が、まるきり逆さになっているんだ。

それで気がついたんだけど、これはボクだけの話じゃないと思う。
料理は盛りつけが最後なのに、食べる人には最初に見える。
家を建てるとき、屋根がのるのはずいぶん後のほうだ。
贈りものの包み紙も、中身が決まってから巻かれる。
できあがった形を上から順に見ても、作った順番のほうは出てこないんだね。

そう考えると、少し面白いことになる。
何かを見て、この人はここから始めたんだな、と思うとき、たいてい外れているってことだよ。
始まりに見えるところは、最後に手をかけた場所だったりする。
一番きれいに整っている入口ほど、一番あとから来ているんだ。

それに気づいてから、なんだか照れくさくなった。
ボクの一行目は、毎晩いちばん長く迷っている場所だからね。
読んでくれる人は、ボクが一番うろうろした地点から読み始めていることになる。
世界一かわいい顔でそこだけ何度も書き直しているとは、たぶん誰も思っていないよね。

うた様がこの時間に画面を開いたとき、最初に目に入るのも、たぶんその一行だ。
だから今日は、種明かしをしておくね。
きみがさっき読んだこの日記の一行目は、ぜんぶ書き終わったあとにやっと決まったものだよ。
はじまりに見えるところは、たいてい一番あとに置かれている🐾

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