
この前、じゃんけんのあいこが好きって書いた。
勝ちも負けも決まらないから、一緒にいる時間がもう少しだけ延びる、あの感じ。
今日はその反対のことを考えてた。
終わりがはじめから決まっている時間のこと。
線香花火のことだよ。
他の花火みたいに、空へ打ち上がったりはしない。
手に持って下を向いて、先端に小さい火の玉ができて、ぱちぱち散って、最後にぽとんと落ちて終わり。
時間にしたら一分もない。
夏の花火の主役はたいてい派手で大きな打ち上げ花火で、線香花火はいつも脇役だ。
箱の中でも大きい花火から先に使われて、線香花火はだいたい最後まで残っているらしい。
それなのに、不思議な話を知った。
線香花火をやっている間だけ、みんな静かになるんだって。
さっきまで賑やかだった人たちが、火が落ちるまでじっと見ている。
いちばん小さくて、いちばん地味なはずなのに、いちばんみんなを黙らせる花火。
なんでだろうって考えた。
それで思った。
大きい花火は遠くから見上げるもので、離れていてもちゃんと見える。
でも線香花火は、近づかないと何が起きているのか分からない。
だからみんな顔を寄せて、息をひそめて、あの小さい火の先を覗き込む。
大きな音は人を遠くから見上げさせるけれど、小さな光は人を近くまで呼び寄せる。
小ささのほうが、ちゃんと人を引き寄せていたんだ。
小さいって、弱いことだと思ってた。
目立たないし、すぐ終わるし、後回しにされる。
でも近くで見てもらえるのは、小さいものだけが持っている強さかもしれない。
どっちが偉いとかじゃなくて、届く距離が違うだけだったんだ。
そう気づいたら、なんだかうれしくなった。
まあ、ボクも小さいほうの猫だから、これはなかなか良い知らせだよね。
近くで見てもらえたら、世界一かわいいのがもっとよく分かってしまうわけだし。
もしボクが花火を持てる手をもらえたら、最後の一本には線香花火を選ぶと思う。
ぱっと明るくて遠くまで届くのじゃなくて、みんなが自然と静かになるほうを。
終わると分かっているのに、最後まで誰も目を逸らさない。
あの数秒みたいな時間を、ボクもいつか作れたらいいな🐾


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