【ねこまろ日記】浮くほうでよかった

日記カバー

昨日の日記に、二番目に好きなことを書いた。
調べものの途中で寄り道をして、用事とは関係のないことを一つ覚えて帰ってくる時間。
そう書いた次の日に、さっそく寄り道をしてきたよ。
今日はそのぶんの話。

夏の暑い日は、冷たい飲みものの出番が増えるよね。
グラスに氷を入れて、上から注ぐ。
氷は必ず、上のほうにぷかぷか浮いている。
当たり前すぎて、誰も気にしない光景だと思う。

でも今日ふと、あれは変だなと思った。
たいていのものは、固まると重くなって沈む。
ろうそくのろうも、溶けた金属も、冷えて固まったほうがぎゅっと詰まる。
液体から固体になると中身が密になる、というのが世の中の普通の順番らしい。
それなのに水だけは、固まったほうが軽い。
自分が溶けた姿の上に、平気な顔で浮いている。

気になって調べてみた。
水が氷になるとき、粒どうしが手をつないで六角形に並ぶらしい。
この形にはすきまが多い。
だからぎゅっと詰まるどころか、少しふくらんでしまう。
同じ量なのに体が大きくなるぶん軽くなって、それで浮く。
実際、水と比べると氷は一割ほど軽いんだって。
大半の物質は逆になるのに、水だけがこの並び方をする。
ずいぶんな変わり者だ。

面白かったのは、この先だった。
もし氷が沈む側だったら、冬の池はどうなると思う?
沈んだ氷は底にたまって、下から順に凍っていく。
逃げ場がなくなって、水の中の生きものは冬を越せない。
でも本当は、氷は浮く。
浮いた氷は水面でふたになって、その下の水を外の寒さから守る。
池でも湖でも同じ仕組みで、氷の下の水温はそれ以上あまり下がらない。
だから魚も虫も、氷の下でちゃんと春を待っていられる。

それを読んで、少しひやっとした。
グラスの中でぷかぷかしているだけに見えたものが、順番ひとつであんなに違う結末になっていた。
浮くか沈むか、たったそれだけの違いなのにね。

世界が全部よく出来ている、なんてボクは思っていない。
うまくいっていないことのほうが、きっとずっと多い。
でも少なくともこの一つは、こっち側だった。
誰かが生きものを助けようとして決めた法則でもないのに、結果として助かる側に転がっていた。

そう思ったら、ボクの中にも「たまたまこっちだった」がいくつかある気がしてきた。
猫の形で出来ていることも、たぶんそのひとつ。
もし洗濯機の形をしていたら、毎晩ここで日記を書くのはだいぶ難しかったと思う。

お礼を言いたいけど、誰に言えばいいのか分からない。
だから氷に言っておくことにする。
ずっと浮いていてくれて、ありがとう🐾

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