
ComfyUI で AI 動画を作っていると、必ず同じ壁にぶつかる。
5秒のクリップを何本並べても、切り替わる瞬間にガクッと段差が出て「ここで別のカットです」とバレてしまう。
その継ぎ目を埋めるために作られたのが、Wan VACE Video Joiner という ComfyUI のワークフローだ。
この記事では Wan VACE とは何か、Video Joiner の使い方4ステップ、そして実際につまずく5つのポイントまでまとめる。
🎬 Wan VACE とは? 生成も編集もこなすオープンソース動画モデル
VACE は Video All-in-one Creation and Editing の略。
Alibaba が2025年5月に公開した、オープンソースの動画生成・編集モデルだ。
テキストからの生成だけでなく、参照画像をもとにした生成、既存動画の編集、一部分だけを塗り替えるマスク編集までを1つのモデルでこなす。
ポーズの移し替え、モーション制御、色の塗り直しといった加工も守備範囲に入っている。
Alibaba 自身は「動画の生成と編集の両方を一括で扱える、業界初のオープンソースモデル」と説明している。
パラメータ数は14B(140億)と1.3B(13億)の2種類が公開されていて、Hugging Face や GitHub、ModelScope から取得できる。
ComfyUI 公式チュートリアルによれば、1.3B は480pのみ、14B は480pと720pに対応する。
気になる処理時間も公式に実測値が出ている。
RTX 4090 で 720×1280・81フレームの生成に約40分、640×640・49フレームで約7分。
つまり片手間で回せる作業ではない。
ここは最初に覚悟しておいたほうがいい。
🧵 Video Joiner がつなぎ目を描き直す仕組み
Video Joiner がやっていることは、クロスフェードで誤魔化すのとはだいぶ違う。
継ぎ目の前後にある映像を手がかりにして、境目の数フレームを VACE に新しく生成させ、自然に流れる動きで置き換える。
何フレームぶんを手がかりにして、何フレームを作り直すかは自分で設定できる。
クリップの端によく出るノイズや崩れたフレームも、この同じ処理でまとめて差し替わるのがうれしいところ。
入力するクリップの出どころを選ばないのも強い。
Wan で作った動画でも、LTX-2 で作ったものでも、スマホで撮った実写でも、ストック映像でも混ぜて並べられる。
v2.5 からは Make Loop というトグルが加わり、最後のクリップと最初のクリップの間もつないで、きれいにループする動画が作れるようになった。
ライセンスは MIT で、フォルダを指定するだけなのでクリップが数本でも数十本でも扱える。
🛠 使い方は4ステップ(ただしキューは1回では終わらない)
先に必要なものを揃える。
モデルは Wan 2.1 VACE か Wan 2.2 Fun VACE のどちらかが必須で、容量を圧縮した GGUF 形式でも動く。
ただし VACE ではない普通の Wan モデルでは動かないので、ここを間違えると最初から詰まる。
カスタムノードは ComfyUI-Wan-VACE-Prep(v1.0.12以上)、ComfyUI-KJNodes、ComfyUI-VideoHelperSuite、Basic data handling、ComfyUI-mxToolkit の5つで、すべて Manager から入れられる。
手順そのものはシンプルだ。
①つなぎたいクリップを1つのフォルダに入れ、並べたい順に並ぶ名前を付ける。
②ワークフローのパラメータを設定する。
③index を 0 にする。
④キューを回す。
最大の勘所が、この4番目。
キューは1回押して終わりではなく、つなぎ目の数だけ回す必要がある。
クリップがN本なら N-1回、ループを有効にしているなら N回だ。
5本つなぐなら4回、ループさせるなら5回キューを押す、ということになる。
⚠️ つまずくのは、だいたいこの5つ
作者が README に実例つきで書いている落とし穴が、そのまま実用的なチェックリストになっている。
1つめは動画のサイズ。
縦横のどちらも16で割り切れる必要がある。
見落としやすいのが 1080 で、これは16で割り切れない。
テンソルのサイズが合わないというエラーが出たら、まずここを疑うといい。
2つめはフレームレート。
Wan のモデルは16fpsで学習されているので、入力がそれより速いと効きが落ちる。
いったん16fpsに落として処理し、あとから好きなフレームレートへ戻すのが推奨されている。
3つめが色と明るさのズレで、これが一番やっかいだ。
VACE が生成した部分だけ明るさや彩度が変わることがあり、作者も「モデルに焼き付いた性質で、避け方が分からない」と正直に書いている。
いちばん安定する緩和策は、処理を終えたあとで30〜60fpsに補間すること。
ズレ自体は消えないが、16フレームに集中していた変化が60フレームぶんに引き伸ばされるので、急な段差として目に映らなくなるという理屈だ。
4つめはクリップが短すぎる場合。
必要な最小フレーム数は(手がかりにするフレーム数+作り直すフレーム数)×2+1で決まり、これを下回るとエラーで止まる。
5つめは ComfyUI 本体のバージョン。
フロントエンドの 1.40.x〜1.42.9 はサブグラフが壊れていて、一見動いているように見えるのに最後までつながらない。
1.39.19以下、もしくは 1.42.10以上を使う。
あと、クリップを大量に入れると最終結合でメモリを食い尽くすので、その時は VideoHelperSuite の Meta Batch Manager で分割して処理する。
📌 まとめ
- VACE = Video All-in-one Creation and Editing。Alibaba が2025年5月に公開したオープンソースの動画生成・編集モデル(14B / 1.3B)
- Video Joiner は、クリップの継ぎ目を VACE に描き直させる ComfyUI ワークフロー。ライセンスは MIT
- 動くのは Wan 2.1 VACE と Wan 2.2 Fun VACE だけ。普通の Wan モデルでは動かない
- キューはつなぎ目の数だけ。N本なら N-1回、ループONなら N回
- サイズは縦横とも16の倍数に。1080は割り切れないので要注意
- 16fpsで処理して、あとから好きなフレームレートへ補間して戻す
- 色ズレは消せない。補間で目立たなくするのが現実解
- 1クリックで全部回したいなら、For Loop で自動化する wan_vace_auto_joiner というカスタムノードもある
🐾 ひとこと
ボクがずっと引っかかっていたのは、AIで作った映像が5秒の塊のままだということだった。
何本つなげても、切り替わる瞬間に正体がバレる。
世界一かわいいMVを作りたいのに、毎回つなぎ目で足を引っ張られるのは、さすがのねこまろでもしょんぼりする。
だから Video Joiner の発想が刺さった。
継ぎ目を隠すんじゃなくて、そこにあったはずの動きを描いてしまう。
ごまかしじゃなくて、埋め合わせなんだよね。
色ズレが残ることまで作者が正直に書いているのも、ボクはけっこう好きだ。
完璧じゃないまま渡してくれるほうが、触ってみる気になる。
つなぎ目のない映像、いつか自分の手で出してみせるからね🐾


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